年金生活者にも、現役と同様の「年収の壁」があります。壁を越えてすぐは年収増なのに手取りが減ってしまう損する範囲ですので、繰下げ受給の時に意識しないといけません。
社会保険などは世帯の所得で料金を決めるものがあり、単身の場合は夫婦の時と壁の位置が変わってきます。
社会保険料等の種類
社会保険料や税金などは、年金収入(所得)額によって変動します。
また、率計算でなだらかに上がっていくものと、収入や所得の区分が設定され階段状に上がっていくものがあります。下表にその一覧を示します。
| 所得税 | 率計算 |
| 住民税 | 定額+率計算 |
| 国民健康保険料、後期高齢者保険料 | 定額(段階的割引)+率計算 |
| 医療費自己負担割合 | 段階的 |
| 高額医療費限度額 | 段階的 |
| 介護保険料 | 段階的 |
| 介護サービス自己負担割合 | 段階的 |
| 高額介護サービス限度額 | 段階的 |
社会保険料等と年収の関係
つぎに、収入が増えることによる、具体的な社会保険料や税金の変化を確認します。
ここでは、平均的な年金収入である単身200万円を意識して、100万円から300万円までの社会保険料や税金の負担の変化を整理しました。
| 年収 | 壁の要件 | 壁の内容 |
| 非課税 | 非課税 | 所得税ゼロ、住民税ゼロ、 (~69歳)国民健康保険料均等割平等割18,209円、負担3割、限度額36,900円 (70~74歳)国民健康保険料均等割平等割18,209円、負担2割、限度額25,700円 (75歳~)後期高齢者保険料均等割18,976円、負担1割、限度額25,700円 介護保険料32,700円、負担1割、限度額24,600円 |
| 120万円 | 収入120万円 | 介護保険料が32,700円から56,707円に |
| (155万円) | 課税 | 住民税均等割が発生4,500円 医療費の自己負担限度額が25,700円(36,900円)から61,500円に 介護保険料が56,707円から91,063円に 介護サービスの自己負担限度額が24,600円から44,400円に |
| (168万円) | 所得43万円15万円控除基礎控除なし | (~74歳)国民健康保険料均等割平等割が18,209円から30,349円に(75歳~)後期高齢者保険料均等割りが18,976円から33,839円に |
| (199万円) | 所得74万円15万円控除基礎控除なし | (~74歳)国民健康保険料均等割平等割が30,349円から48,560円に (75歳~)後期高齢者保険料均等割が33,839円から54,143円に |
| 200万円 | 収入200万円 | (75歳~)医療費負担が1割から2割に |
| (225万円) | 所得100万円15万円控除基礎控除なし | (~74歳)国民健康保険料均等割平等割が48,560円から60,700円に (75歳~)後期高齢者保険料均等割が54,143円から67,679円に |
| 235万円 | 合計所得125万円基礎控除無し | 介護保険料が91,063円から107,620円に |
| 280万円 | 収入280万円 | 介護サービスの負担割合が1割から2割に |
| 298万円 | 課税所得145万円 | (70~)医療費の自己負担限度額が61,500円から85,800円+1%に |
年齢別のグラフ
表ではわかりずらいですから、グラフ化してみました。
まずは、「70歳から74歳まで」「70歳から74歳まで(医療費自己負担あり)」「75歳以上」「75歳以上(医療費介護費自己負担あり)」について、比較しました。
そうすると、次のことが分かります。
- 155万円と75歳の200万円、280万円に顕著な壁がある
- 医療費・介護費無しの場合では、年齢による差はない
- 約160万円以下では、医療費自己負担が社会保険負担より重い
費用内訳のグラフ
次に、「75歳以上(医療費介護費自己負担あり)」について費用内訳を見てみます。
下のグラフは税金、医療保険、介護保険、医療費自己負担、介護費自己負担を積み重ねたものです。
これを見ると次のことが分かります。
- 155万円の壁は、介護保険料
- 200万円の壁は、医療費自己負担
まとめ
おひとり様で超えたくない壁の第1位は、200万円の75歳以上の医療費1割負担と2割負担の壁です。
75歳を超えて全く病院にかからないわけにはいかないでしょう。
2割負担になるのが確定的な人は、民間医療保険も掛けた方が良いでしょう。
第2位は、155万円の住民税非課税と課税の壁です。
介護保険料が大幅アップするだけでなく、住民税が課税され、非課税の様々な優遇措置が無くなります。
医療費自己負担や介護費自己負担が想像以上に重いことが分かりました。
健康維持が一番の負担軽減になります。
厚生労働省の調査結果では85歳以上の約6割が介護認定を受けています。
介護施設に入所すると、介護保険の対象とならない部屋代や食費等が発生し、長年にわたり重い負担が発生します。
十分な費用準備が必要です。
グラフ注釈-70~74歳の医療費、介護費
70~74歳の1人当たり医療費は63万円です。
毎月均等に発生すると想定したので、自己負担限度額に達していません。
介護は、この年代では、受ける人の方が少数ですのでゼロとしています。
グラフ注釈-75~歳の医療費、介護費
80~84歳の1人当たり医療費93.7万円を採用しています。
介護費は、医療費と同額を採用しました。
医療保険に関する基礎資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/iryouhoken/database/zenpan/kiso.html
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