公的保険制度の基本と必要保証額の考え方-ケース2(Journal of FP2022年10月号より)

Journal of FP2022年10月号の特集「公的保険制度を踏まえた生命保険プランニング」第2部「公的保証を踏まえた生命保険相談のポイント」「ケース2第1子誕生を控えて生命保険に加入したい。夫婦それぞれの死亡保障はいくらあればいい?」の概要と感想です。

概要

相談者データ

  • 夫37歳会社員年収550万円、妻31歳会社員年収250万円、二人とも協会けんぽ
  • 持家戸建、夫名義住宅ローン、団体信用生命保険加入
  • 基本生活費350万円

夫の保険の必要保証額

遺族に必要な金額
基本生活費(子の独立前、月額22万円X22年) 5,808万円
基本生活費(子の独立後、月額15.4万円X42年) 7,762万円
妻の保険料 219万円
住居費(子の独立前、固定資産税・火災保険・リフォーム) 995万円
住居費(子の独立後、家賃月額8万円X34年+更新料) 3,400万円
自宅の売却代金 ▲1,927万円
教育費 1,194万円
介護費用 581万円
葬儀費用 369万円
1億8,401万円
遺族の収入見込み額
遺族年金(子18歳の年度末まで、142.5万円X18年) 2,565万円
遺族年金(妻65歳まで、100.7万円X16年) 1,611万円
65歳からの妻の老齢年金(127.04万円X30年) 3,811万円
児童手当 198万円
育児休養給付金 115万円
妻の給与 5,500万円
現在の金融資産 300万円
1億4,100万円
保険で備える保証額 4,301万円

妻の保険の必要保証額

遺族に必要な金額
基本生活費(子の独立前、月額25万円X22年) 6,600万円
基本生活費(子の独立後、月額17.5万円X31年) 6,510万円
夫の保険料 295万円
住居費(子の独立前、固定資産税・火災保険・リフォーム) 995万円
住居費(子の独立後、家賃月額8万円X23年+更新料) 2,300万円
住宅ローン返済 4,135万円
自宅の売却代金 ▲1,927万円
教育費 1,285万円
介護費用 581万円
葬儀費用 369万円
2億1,143万円
遺族の収入見込み額
遺族年金(子18歳の年度末まで、118万円X18年) 2,124万円
65歳からの夫の老齢年金(191.78万円X25年) 4,795万円
児童手当 198万円
夫の給与 1億1,205万円
夫の退職金 600万円
現在の金融資産 300万円
1億9,222万円
保険で備える保証額 1,921万円

確認すべきこと

  1. 配偶者死亡後、従前と同様に働けるか(残業なしや時短で収入が減らないか)
  2. 遺族年金の額(ねんきん定期便の提出を依頼)
  3. 配偶者死亡後、子供独立後も自宅に住み続けるか
  4. 子供の進路の希望(公立か私立かなど)

注意ポイント

  • 相談者の実際の基本生活費をベースに必要保証額を計算する
  • 遺族年金はねんきん定期便などの資料を基に試算
  • 子の大学卒業ではなく、リタイア予定の時期まで保証を確保する
  • 死亡保障は収入保障保険で確保し、就業不能保険も適宜検討する

感想

世帯主が中小企業に勤める一般的な家庭を想定しており、国内では一番典型的な事例と思われます。
おそらく、お客様に対して保証額を算出し保険の見直しをするならば、これで正解かと思います。
一方、子の独立後は8万円の賃貸としているが、500万円程度の中古ワンルームマンションを購入する方法もある。そうすれば、管理費と固定資産税の負担はあるが、総額が安く済むし、高齢を理由とした契約解除を恐れなくてよい。

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